世界中の物語の登場人物や、史人の生まれ変わりたちが大勢集まる謎のマンモス校・愛譚学園。その高等部に転校してきたトラブル吸引体質の祐喜は、転入早々、昔話「桃太郎」のモデルになった退鬼師の生まれ変わりだと告げられる。
しかも、そのトラブル吸引体質は、前世で倒した7体の鬼からの呪いによるもので、18歳の誕生日までにその呪いを解かなければ死んでしまうという…。それを教えてくれたキジ・サル・イヌの生まれ変わり(=獣基)と共に、同じく愛譚学園に潜む鬼の生まれ変わりと戦うことに…
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本誌を読んでない方の為のあらすじはこっちです。
前回までのあらすじ(先月号用のあらすじ)
7体中、5鬼目の桜鬼まで攻略に成功した祐喜たち。さらにスーパー福禄獣(=『福を呼び込む力』を持つ者』である羊原君と契約し、新たな仲間を手に入れる。期末テストを無事に終え、休む間もなく愛譚学園五大祭の一つ「トップ・オブ・愛譚」が始まった。
それは一年生だけの祭りで、選ばれた学科が出題し、それ以外の学科の代表者が挑戦して点数を競う競技会のこと。今年選ばれた学科は「帝王学科(セレブか)」。普通科代表の祐喜と羊原君は、セレブ科の問題に四苦八苦するが、宝石鑑定、テーブルマナーを何とかこなし、最後の出題「ダンス」に挑むことに…!?
このあらすじだと、「トップ・オブ・愛譚」の話終わってないけど、もう前回の話で優勝者決まったしね。
「五大祭」これにて閉幕――の後にはお決まりの…!?
アオリって…?と最初なってたけど、読んで納得してしまった。羊原君、どうもありがとう!
さて、本編の感想行きましょう!
優勝者が”裏葉くん”だということはまぁ…前回最後やったからいいか…!
裏葉のダンスの相手となった、撫子ちゃんの話から入ります。
踊りっぱなしだった撫子ちゃんはへとへと
「(終わった…全然良い事なかった…。疲れただけだった……)」
足がプルプル震えて、よろけた先には”祐喜”がいた
「ごめんなさっ」
「鴇羽!」
ビビる鴇羽だったが、祐喜は全然気にしてないようで
「こっちこそ、悪い…。あっ、そうだ」
何か思いついたのか、鴇羽の髪に祐喜の花をつけた。
「コレやる」
その行動に驚く鴇羽(撫子ちゃん)
「全員花が違うんだって……オレ桃の花だったから、
お揃い!」
(笑)うわぁ…無意識に撫子ちゃんの心を射抜くことを…
撫子ちゃんは祐喜が去った後にパタリと地面に倒れた。
そんな様子を遠目から見ていた雪代は少し沈んだ様子。
それに気づいたのか、羊原君が声をかけた
「雉乃木さん、雉乃木さん」
「はい、何でしょう?羊原君」
不思議そうにする雪代
「はい」
羊原君は自分の花を手に取って、雪代につけた
「良い事ありますように~」
その言葉に?マークを浮かべながら、お礼を言う雪代
「ありがとう…ございます」
羊原君から受け取ったんだから、何か良い事ありそうだね
「あ―――これでやっと冬休みだな~!」
やっと終わったと伸びをする祐喜
その言葉に3人はぴくりと反応する
休暇前 恒例の――祐喜(様・殿)
――争奪戦
あ、あぁ…そういえば、忘れてた。
新章の時も言ってたなぁ…
3人の争奪戦が始まると思いきや――
咲羽は笑男くんに玉を当てられ、雅彦は堀内くんに呼び止められる。
”咲羽”
「いたいた――高猿寺くーん。先生が今から反省会だってさ、めんどーだから気絶させてフケよーよ~。僕が後ろから殴るから高猿寺くんオトリやってよ」
そう言う笑男くんに咲羽は
「上等だ」
と張り合う
こ、これは完璧に喧嘩売ってるのか…(笑)
”雅彦”
「あ――犬飼君いたいたー!!」
突然声をかけてきた堀内くんに何かを恐れている雅彦
「ほ…ほうち君…?」
数えてご機嫌とるんだって――」
「いっ嫌だぁぁぁぁぁ!!
あの儀式だけは嫌だぁぁぁ!!」
…儀式なのか(笑)あーどんまい
「まずテメーからだクソヘビ!」
咲羽が怒った…(やっぱり…)
「終わらないから嫌だぁぁぁぁ~~」
どんな儀式なんだよ、それ(笑)
雪代と祐喜を残し、二人っきりになる
「……えっと…」
「うん…どした?」
思い切って、雪代は祐喜に声をかけた
そして、羊原君からもらった花を触りながらこういう
「ゆっ祐喜様…もしよろしければ冬休みは私の家におこし下さい!祐喜様さえ…よろしければ…」
「いいの?」
「是非っ」
「本当に?」
「はいっ!」
何回も同意を聞く祐喜
「嬉しい…!」
実感をかみしめるように、嬉しそうな顔を見せた。
「咲羽と雅彦もだよな?」
「もちろんですわ!では詳しい事はまだ後日――」
雪代は頭を下げ、祐喜から離れる
少し歩いた後――
雪代は嬉しそうに赤面する
「(羊原君、すごいっ…!あなたの夢なら悪夢でもいいと思ってたの。夢でしか会えない人だったから)」
…!雪代…よかったね
時は進み、雪代の家へと向かう
「雉乃木の現頭首である私のひいおばあ様が「ぜひ我が君をお招きせよ」と再三申しつかっておりましたの」
3人の祐喜争奪戦に勝った雪代はそう祐喜に話したのだった。
咲羽と雅彦は悔しそうな様子
「”という訳でオレ達はいつもの4人で「雉」の家にやって来ました”」
あ、羊原君はお正月は実家に帰るそう
「雪代んちってさー…どこ?」
近くまでやってきた4人だが、目の前が崖であった。
が、崖ですか…?森の中だし…
「ここですわ」
「え…到底、人間が登れる角度の崖ではございませんよ?」
目の前にある崖は直角である
「すぐに迎えが参りますので」
雪代がそう話すと、羽根を持った人の影が現れた
「(天使っ!?)」
「お待たせ致しました、雪代姐様――」
「我が君…「雉乃木」よりお迎えに参りました――」
そこに現れたのは仮面が半分まっ黒の獣基2人
「(仮面の半分がまっ黒だ…)
よろしく……あ――…話してもいいの?猿の家ではダメだって言われて…」
心配そうに言う祐喜だが、雪代は言った
「この子達は大丈夫ですわ」
「お迎え役につきご挨拶の栄誉を頂きました。本家のこの上ですので、お一人ずつ運ばせていきます」
へぇ…じゃ、雪代も参加しないと運べないね
「では私も――」
雪代も仮面をつけ、覚醒させる
「さっ、祐喜様は私が」
ゆ、雪代は鼻血出てるよ…?
「ジャンケンにしましょう!!ジャンケンがいい!!それがいい!!」
雅彦はそう訴える
結果、雪代は雅彦を運ぶことになり、その他の獣基が運ぶ
あらら…どんまい。それに色んな意味で危なかった気がするから、それでよかったんだ。
「崖の上もすごい森だね」
祐喜がそう言うと、獣基は答える
「外敵の侵入を防いでおります。見える森全て雉乃木のものです」
かなりのお金持ちさんなんだろうな、獣基の家って
雪代の家につくと、そこには洋館があった
「意外…洋館なんだ…」
うん、意外だよね。何か理由でもあるのかね…雉の家には
「はいっ、ようこそ祐喜様――」
祐喜が中に入り、ドキドキしながら辺りを見回すと何かが通り過ぎた風を浴びた
「おわっ!!」
雪代のもとへ現れたのは鳥だった
「(すげぇ…キレイな鳥…)」
祐喜は思う
「祐喜様この鳥(こ)は―――私のペットですの」
言った瞬間、
螺鈿(らでん)と呼ばれた鳥は鼻血を吹いた
「(あっ!!あの鳥だ!!腹筋してた)」
う??いたような気がするけど、記憶曖昧だ。
「雪代、楽しそうだな」
「久しぶりの実家ですからね」
「でもま――そろそろ来るぜ…」
突然、杖をつく音が鳴り響いた
「雉乃木家頭首――雉乃木風代(かぜしろ)が
お目通りいたします」
現れたのはまっ黒な服を纏った人
「(この人が雪代のひいおばあさん…)」
「ご健勝…何よりもございます。
我が君――」
ひいおばあさんは祐喜へ頭を下げた
「はい…あの…はじめまして…」
「あまり…猿方の顔立ちにお寄りではないご様子…」
顔を触れないまでも、手を顔のそばにやるひいおばあ様
「そう…ですか?」
…雉の家は猿の家に関して、色々と確執がありそうだな
「…我が君におかれましては各家で催されます、新年を祝う宴に「雉乃木」をお選び下さり、わざわざお運び頂いた事、まこと光栄の至りに存じます」
その言葉に思考は一時停止する祐喜
「(え……新年の…各家って―)」
くるっと後ろを向いて、咲羽の方を見る
「…雪代が勝ったから…」
あ…(笑)ごめん。
「”咲羽へ――
我が君はお元気か?正月の宴には我が君と戻ってくるのか?戻ってくるだろう? そういえばこの前送ってくれた我が君のお写真16枚…16人で分けたのになぜか足りなかったので次は32枚送って下さい。
――はとこ獣基一同より”」
この手紙を読んで、なんだかゴメンって思った。
それでも雪代の家見てみたかったしなぁ…
その咲羽の表情を見て、察したのか祐喜は
「あやまっといて…」
そう言う
「おう」
「では我が君、獣喜方はごゆっくり…雪代」
ひいおばあ様は祐喜達にそう言い、雪代に声をかける
「はい」
「宴の用意がある。着替えておいでなさい」
「はい。祐喜様、また後ほど…」
雪代は祐喜にそう言うが、祐喜はその表情に驚くのだった
雪代抜きでお茶をする3人
「お茶をどうぞ、我が君――」
「ありがと」
おもてなし役の獣基がお茶を配る
「雅彦さんもどうぞ」
「どうも」
雅彦にも配る
「どうぞ!!」
強くお茶を置いたおもてなし役の獣喜さん
「おっイイネーイイネー!!お兄さんそういう分かりやすい方が好きだぜ!?」
(笑)咲羽というよりは…猿だからなんだろうな
「こっこら――せっかくおもてなし役になれたのに何て事するの!!」
同じおもてなし役に怒られる
「だって猿だと思うとつい~~」
これ…咲羽にとっては慣れっ子なんだろう(笑)
「本当に仲悪いんだなー」
「そうなんですよー」
二人ともほのぼのしてるね
「で?どうだった、ここのご頭首様は?」
おもてなし役の頭をぐりぐりさせながら、咲羽が言う。
仲良いんだか、悪いんだか分からんなこの状況
「…そうだなー。…黒い」
黒いって(笑)確かにそうだけど!
「それな!」
「あとは…ひいおばあさんが来たとたん、あんなに楽しそうにしてた雪代から生気が消えた気がした」
…そうか。やっぱり、何かあるのか
「ぼくが聞いた風代御大(かざしろおんたい)は…前々代の「桃太郎」をとても幼い頃に見つけお仕えし、お守りしてきたと…。しかし結果は言わずもがな……。悲願成就はならず。その60年後…やっと生まれた正統な「雉」が雪代です」
その話に関しては鬼美ちゃんにきいた通りだね
「それはそれは厳し~~くお育てになったんだよな」
咲羽はそう口を挟む
「仕方ありません!雪代姐様は私達と半獣基とは違いますから」
そこにいたおもてなし役の獣基が反論する
「半獣基?」
「半分しか獣基の血が覚醒しなかった者の事です。羽根とかとても小さくて。戦う力も弱くもせいぜい飛ぶ事ができるくらいで…」
へぇ、なるほど
「(お面が半分だけなのはそのせいか…)」
心の中で納得する祐喜
「それでも雉ではとても希少な存在なんですよ」
雅彦が補足する
「だから…雪代姐様は私達の、憧れ・希望なんです」
そうなのか…咲羽の家とちょっと違うけど、同じような感じだね
その日の夜――
「おーこんなに沢山、人がいたのか。それに洋風の庭に舞台ができてる!」
祐喜は驚いたように言う
「新年の宴の為に作るんですよ」
「へぇ――おもしれぇー」
棒読みみたいな顔でいう祐喜
「(こんな状況でなければ――)」
隣には雪代のひいおばあ様がいた為だ
あはは…これは気まずいわ
「そう固くなられず…舞台がはねればすぐ退席しますゆえ」
…まだ咲羽のばあちゃんよりは気を遣ってくれてる
「はっはいっ」
そして、宴が始まる
「花や―――鳥や――」
半獣基達は舞を舞っていく
「花鳥風月の化身(みこ)を手打ちで呼び寄せ、その御神楽を神にお納めして、新年を祝います」
雅彦が説明をしてくれる
「風や――」
声が聞こえた時、雅彦が言った
「ほら、雪代ですよ」
「月や――」
!…綺麗
「雪代すごい迫力…!!かっこいい!」
祐喜は惹きつけられたようにそう言った
「かっこいい…ですか? 今代の我が君は獣基に随分、気さくでいらっしゃる」
ひいおばあ様は少し驚いたように言う
「初めてできた友達ですから」
その言葉にひいおばあ様は驚く
…咲羽と雅彦の目が…!複雑な所なんだろうな
「え…「友達」…?」
宴の舞いが終わった後ー
「祐喜様!咲羽!雅彦。いかがでしたか?」
嬉しそうな顔で聞く雪代
「すごい華やかだった!」
「まぁ!」
「嬉しいですー」
そう話していると、ひいおばあ様が声をかけた
「雪代、これはどうなっている?」
その言葉に戸惑う雪代
「どう…とは?」
「我が君に対し、気安いにも程がある。「友達」などと」
たしなめようする、ひいおばあ様に慌てて祐喜は雪代を庇う
「あっ、違います!それはオレが友達になってって言ったから―ー」
その言葉に納得したのか、ひいおばあ様はこういいた
「…あぁ…そうでしたか。我が君は”お命じに”なったから、「友達」になっていたと…」
「そうだな?雪代」
淡々とそう聞いたひいおばあ様。雪代の目には生気がない
「はい」
「我が君が…そう望まれましたので――」
その言葉に大きくショックを受けた表情をする祐喜
「”ああ またここで 悪夢をぶり返す――”」
うわぁ…こういう意味ではひいおばあ様怖っ!
友達か…そういうのが難しいのが我が君と獣基の関係性なんだろう。
雅彦も咲羽もそういうところを分かっているけど、祐喜は友達としての関係を望んだんだ。確かにそうだ。3人とも本当の気持ちは”友達”との関係性を望んでいたとは思う。
ただ…あのそれぞれの家の頭首はそれを許さないんだろう。
でも、あの最後の言葉は雪代が”友達”を望んでいなかったようなニュアンスを含んでしまっている。あるのは”従者”しての関係性だと
この悪夢がぶり返すというのは…やはり祐喜自身の過去話の始まりなのかな
ここまで読んでくれてありがとうございました!
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