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「この国には不思議な儀式があると聞きました」叔母・ユーカとの再会とルイシャ贈りという儀式。第3回「ルイシャ贈り」 感想 精霊の守り人最終章

此花(このはな)です

今回は精霊の守り人最終章の第3回「ルイシャ贈り」の感想を書いていきたいと思います

第3回「ルイシャ贈り」
あらすじ
バルサ綾瀬はるか)とチャグム(板垣瑞生)は、カンバル王国のヨンサ氏族領で医術師を続けている叔母・ユーカ(花總まり)を訪ねる。突然現れたバルサを姪だと信じられず戸惑うユーカに、バルサは、ジグロに育てられた経緯を話す。

そして、ユーカの計らいでヨンサ氏族の長老・ラルーグ(武田鉄矢)にルイシャ贈りの儀式について教えを請う。そんな中、バルサは再び捕われ、カンバル国王・ログサム(中村獅童)に対面する。

公式より
第3回 「ルイシャ贈り」 | あらすじ | 精霊の守り人 最終章 | NHK大河ファンタジー

今回はユーカとの再会とルイシャ贈りの話でした。
ユーカさんはバルサを自分の姪と信じてくれたけれど、ジグロとの話は聞いてて、やっぱり辛かったです。それでも、真実を知れてジグロの行動の本当の意味を知った。それが救いだということを願うばかりです

興味深かったのはラダールですね。
カグロの後ろに何かが見えたって…ラダール王子はナユグが見えるのか…?黒い影は死の影なのかもしれない…。闇に飲まれるという意味で。

バルサとチャグムは途中から別行動なんですね。
トトとチャグムが会うのはありそうだなぁと思ってたけど、同じもの(ナユグ)を見える人がいるのは大事だ。ナユグの春のことはトトから言われていた。ただ、例のことは後に分かるんだろうな

さて、本編の感想へ行きましょうか!

「”戦の足音が近づいてきた。巨大国家・タルシュ帝国の王子・ラウルが海を渡り、わが国・新ヨゴ国に攻め入ろうしていた。国を守るため、皇太子である私、チャグムは隣国のカンバル王国と同盟を結ぼうとカンバルに入った」

「しかし、カンバルの聖なる山の奥では”」
”「山の王の扉が開いた! 儀式の時がやってきたぞ!」”
ログサムの声が響く

「”今まさに、カンバル王国に何かが起ころうとしていた。
 そして、私とバルサはタルシュ帝国と通じているログサム王の追手から逃れるため、バルサの叔母であるユーカの所へ向かったのだった”」


こうして訪れたユーカの診療所―
ユーカの執事であるノッサが庭いじりをしていた
「ここはユーカさんの診療所でしょうか?」
バルサが問いかける
「そうですが。……どこがお悪いので?」

「いえ、診てもらいにきたのではありません。私は…」
そう言いかけると、診療所の扉が開いた
「もう気を付けてよ。……じゃあ、また」
ユーカと思われる女性が一人のおばあさんと一緒に出てきた。

ユーカと目が合い、バルサが口を開く
「ユーカ叔母さん……
 カルナの娘のバルサです」

その言葉に固まった様子のユーカ
「あぁ、ちょっと中に入ってて」
おばあさんを部屋の中に入れる

「誰なの? 
 何のためにその名を語って、私に近づくの?」
ユーカは疑っている様子だった

「私は本当に、バルサです」
「本当です。間違いありません」
チャグムもそう言う

「私の姪なら…6つの時に死んだのよ」
ユーカは階段を降り、バルサに向かって言う
「どうやって死んだのですか?」

「掘り抜きの井戸に落ちて、
 地下の水流に流されてしまったの」

「父が、そう言ったんですね。
 その父はどうなりましたか?」
バルサは問いかける

「すぐに死んだんじゃありませんか」
バルサの確信を持ったいいようにユーカは黙ったまま

「いくつの時か忘れてしまったけれど、あのユッカの木に登って枝を折り、
 おばさんに叱られましたよね」
バルサは一本の木を指さす
ユーカもその木へ視線が移る

「枝を折ったからじゃありません。
 私が落ちて、腕の骨を折ったから」
バルサにしか知れない思い出の言葉
「私は……父に生かされたんです」

「嘘でしょ…。
 バルサが……生きていたなんて…」
おそるおそるバルサに近づくユーカさん

「夢じゃ、ないのね…?」
バルサの身体を両手でつかみ、ユーカは問いかける
「本当にバルサなのね?」

「はい……」
うなづくバルサ
バルサ!と抱き着くユーカさん

バルサだと信じてくれたユーカは二人を診療所の中に入れてくれた。
「さぁ、入ってちょうだい」

「それで……そちらの御方は?」
チャグムのことをみて、ユーカは言う
「……隠していても、迷惑をかけることになるので、言いますが。
 ……この人は新ヨゴ国の皇太子です」

その言葉に驚くユーカさん
「私は訳あって、その護衛をしているんです」
バルサは説明する
「チャグムと言います。昔、用心棒をしているバルサに命を救われました。
 それで、私からお願いしたのです。カンバルに連れてってくれないかと」

「ちょっと待って。
 なんだか……夢を見てるしか思えなくなってきたわ」
ユーカはそう漏らす
…だよね。急に自分の姪が生きている、と知らされた上に新ヨゴの皇太子の護衛をしているなんて、信じるには時間が必要だ。

カンバル王城ー
カグロはログサム王にチャグムとバルサが逃げた事を報告する
「申し訳ございません。私の油断から、二人を取り逃がしました」
「チャグム皇太子とカルナの娘・バルサか」
「はい」

「逃げたとはどういうことだ? 
 ……カームか。お前の息子がしくじり、それで逃げられたということか」
ログサム王はいう
「お前が仕込んだ息子の槍がジグロが仕込んだ槍に負けた、という事だな」

「申し訳ございません」
カグロは謝るしかできない

ログサムは飲み物を一口飲むと
「さすが、ジグロ」
そう称賛するのだった

場面が戻り、ユーカの診療所ー
「私はジグロに槍を教わって、異国で護衛士になりました」
バルサの言葉に驚く
「どうしてあなたが、あんな裏切り者と……」

「父が預けたんです」
バルサの言葉
「嘘よ!」
ユーカは立ち上がって、バルサに背を向ける

「本当です。
 ジグロが父に頼まれて、私の命を救うために……この国を捨てたんです」

「……父さんは、どうやって死んだんですか?」
バルサは問いかける
「兄さんは……貴方がいなくなった家で何者かに切り殺されたのよ。
 王都の警備兵が”盗賊の仕業”だと言っていた」

「父さんは……カンバル王のログサムに殺されたんです」
バルサは言う
「どうして…?」

「ログサムに命じられて、父さんは
 ログサムの兄である先代の王を死に追いやったのです」

「まさか……」
「本来なら、その盗賊の仕業に私の命も含まれていた事でしょう。
 そうさせない為に父さんは6つの私を、ジグロに預けたんです。ジグロは私を連れて、新ヨゴ国に逃れました。それが真実です」

そんなバルサの言葉にジグロとの最後の別れを思い出す
ジグロにもらった緑白石…
「ジグロ……その為に姿を消した」
そう、つぶやく

コンコンとノック音
ユーカさんは扉の前で”誰?”と問う
「わたくしです。お茶をお持ちしました」
執事であるノッサ

テーブルへと運ぶノッサ
「しばらく、ここには誰も近づけないで頂戴。
 くれぐれ、私の姪だと言わない事」
ユーカが口を開く

「わかりました。
 それであれば、なるべくお二人でいられるのは見られない方がいい」
ノッサは言った
「どうして?」

「あなたとあの方はとても似ていらっしゃる」
すぐにバレてしまうと
血縁だという証明、か。

場面が変わり、カンバル王城ー
ラダール皇太子はカグロに声をかける
「カグロ」「ラダール王子」
「父上と何を話していたのだ?」

「はい、ルイシャ贈りの儀式の事に」
「新ヨゴ国の皇太子と怪しい女のことではないのか?」
ラダールは問いかける
「カルナの娘とは何者なのだ?」

「王子の気にかける事ではございません」
カグロは言う

「カグロ、儀式の事は何にも思わないのか?」
ラダールはいう
「儀式の事?」

「今度の儀式は不吉な気がするのだ。
 ……カグロ、私に槍を教えてくれないか?」
ラダールは言う

「わかりました。
 しかし、今は先を急ぎますので」
カグロはそう言って、去ろうとするが
「いやいまだ! 今すぐ教えてくれ」
ラダールは言う

ラダールの目に青い蝶々が飛んでいくのが見えた
その蝶々はカグロの後ろで無くなり、黒い影に。
「頼む!」

「かまわぬ!」
声が聞こえた
「せっかくラダールがやる気になっておるのだ。他に大事なことなど何もあるまい」
父・ログサムがやってきて、カグロに言った
「はっ!」

こうして、カグロと槍の稽古をすることになるラダール
槍の稽古の最中―
「王子、どうかなさいましたか?」
少し様子がおかしいことにカグロは問いかける
「カグロには見えんのか? ……カグロの後ろに何かおるのだ」

後ろを見るが誰もいない
「影だ。今は濃くなっている。
 ……やはり、今度の儀式は不吉ではないのか」
ラダールはつぶやくのだった
……ナユグが見えるのか、ラダールは

場面が戻り、ユーカの診療所
ノッサが持ってきたお茶を飲むチャグム
「……おいしい。ヤギの乳の嫌な臭いがしないよ」
「薬草が入れてあるんだよ。風邪をひいたときに、父が飲ませてくれた。
 ……懐かしい味がする」

「うちは武人階級だけど、兄さんは武人より医術の道を志して、都にいったの。
 私もただ、武人の妻になるだけの生き方が嫌で、兄さんの後を追ったのよ」
ユーカは言う
「その王都でジグロと知り合った」

バルサは飲み物をテーブルに置いて
「ジグロのこと、本当に裏切り者だと思っていたんですか? 
 カンバルから消えただけで」
問いかける

「消えただけではなかったのよ」
「え?」

「ジグロは、何も持っていなかった?」
「何をですか?」

「短槍にはめる金の輪を持っていたはずよ」
ユーカは言う
「はい……」

「それは王の槍の中でも、一番強いものだけが持つことを許されてるの。
 ジグロが持っていたのはひとつだけ?」
ユーカは言う

「ひとつだけです。
 …どうして?」

「本来、金の輪は全部で九つあるの。
 他の8つは王宮に仕舞われていて、王が即位するときだけ使われるのよ」
ユーカは説明する
「新しい王を囲み、誓いを立てるときに」

「そうやって王の槍たちから認められることで、
 この国の王は即位したことを示す」

「ジグロはログサムが即位することに異を唱え、
 その金の輪をすべて持ち去って逃げたとされている」

「え?」

「ジグロはね、王子の頃からログサムの武術指南役だったの。
 その気質を良く知り、兄さんにいったことがあった」

”「万が一、ログサム王子が王位を継ぐような事があれば、
 この国は大変なことになるかもしれん」”

予言めいたことをジグロは言っていたのか…

「だから、裏切りを信じてしまって…
 いくら何でも、金の輪を盗むなんて私でさえ、愚かな事だと思ってしまったのよ」
ユーカは言う

「それはきっと、ログサムの陰謀です」
バルサは言う

”「これを持っていってください。カンバル王に私を殺したと告げてください」”
そう言って、カグロに渡したジグロの事

「ジグロは自分の金の輪を兄のカグロに渡しました。
 ジグロはそれから2年後に死にました」
バルサは言った

その日の夜ー
部屋の中で一人のユーカ。ジグロからもらった”緑白石”を見ながら
”「いつか来てね、私のお城にも」
「……あぁ、わかった」

「わかったぁ?」
「必ず行く」
そう言ったジグロとの記憶”

”「君にこれを渡したくて」
ジグロが差し出したのは緑白石

「ユーカ、
 私の気持ちはその石のように変わることはない」

そう言っていたジグロの言葉の本当の意味を”

一方、カグロとカームは馬に乗り、ヨンサ氏族の里へと発った。

場面が戻り、バルサとチャグムー
夜中にもかかわらず、チャグムが起きてくる
「眠らないとだめじゃないか」
「うん……」

「……敵を討ちたいと思ってる?」
チャグムの問いに
「そんなことは考えちゃいないよ。私はもっと違うことを考えていたんだ」
「違うこと?」

「どうしてジグロは耐えられたのかとね。
 ログサムのことを良く知るジグロには、自分がいなくなった後にどんなことが起きるか、それもよくわかっていただろう」

「ジグロはきっと、そのカンバル王国を変えたかったはずだ」
チャグムに向き直るバルサ
「王が憎いなら、自ら王をいさめ、王の槍として、この国で自分がすべきことをしたかったはずだ。 それなのに、ジグロは……私と一緒にいてくれた」

「ジグロには他に守るべきものがたくさんあった。自分の果たすべき使命がもっと他にあったはずだ。それに比べたら、私の恨みなどちっぽけなことだ」

「そのちっぽけな私の命が……ジグロを不幸にしたんだ」
バルサは言う

バルサが思い出すのはジグロに置いていかれた時の記憶―
「ジグロ―!!」
そう叫びながら、ジグロを追いかける幼き頃のバルサ
「お前には私のことは分からない。わかるようになってほしくないんだ」”

「ジグロはずっと満たされぬその想いを抱えたまま、
 一人でそれに耐えていた」

バルサは言う

”「今の兄上になら、これを託せる。
 これからは私の代わりに、カンバル王国を守ることが出来る」
カグロに託すジグロの顔”

「ジグロが本当に守りたかったものは……
 このカンバル王国だ」

守りたかったもの…か

場面が変わり、新ヨゴ国
「”一方、新ヨゴ国では戦の準備のため、民が駆り出され、
 タンダも弟の代わりに戦場に向かう準備をしていた”」

「本当に行くのかい?」
「しばらく留守にしますが、ここをお願いします」
タンダは淡々とトロガイがいう

「お前が戦にいって、何をしようっていうんだい」
トロガイはいう
「私が行かないと、弟が行くことになるんです。弟は子供が生まれたばっかりですから…」

「行けば死ぬかもしれない、という事だろう。
 だから、お前の家族はお前を身代わりに…」

「そんなことありませんよ。独りでいるのは僕だけですから」
タンダは言う
「家族のために命を捨てようっていうのかい。
 お前の事、気味悪がって、遠ざけてきた人たちだろ!」

「師匠、人を憎めばそれに固執して、
 魂をナユグに飛ばせなくなると教えてくれたのは、師匠ですよ?」
タンダは言う

「私は、呪術師として行きたいんです。そうやすやすとは死にません。
 物事を見極める目を師匠に教わってきたんじゃありませんか」

「ナユグと違ってね、人の世は流されたら物事をいくら見極めているつもりでも、
 愚かな道に走ることはいくらだってある」
トロガイは言う

「そういうことも見極めていきます」
タンダはそう言い、外へ
「タンダ!」

一度足を止め、自分の家を見るタンダ
もう一回、歩き出すと、目の前にトロガイが現れた
「……お前は一人ではないよ。
 お前が死んだら、バルサが一人になっちまうからね!このことは忘れるんじゃないよ」

「わかっています……」
タンダは答える
バルサが帰ってきたら、心配するな、と伝えてください。
 絶対に死なないと」
心配そうに見つめるトロガイ

一方、カグロとカームはようやくヨンサ氏族の里まであともう少しと来ていた。

また場面が戻り、ユーカの診療所ー
バルサがいる部屋にユーカにやってくる
「身体を、温めなさい」
飲み物を渡す
「ありがとう…」

「おばさん、私が子供の頃、ジグロは一度だけユーカ叔母さんの話をしたことがあります。
 おばさんは強い人だ、と言っていました」
バルサの言葉にフッと笑うユーカ
「そう思いたかったのね…きっと」

「わたしのせいで、
 ユーカ叔母さんは今もずっと独りでいるんですか」

バルサは言う

バルサ、貴方はここに何しに来たの? 過ぎた事はもう、変えられないのよ。
 何が真実かどうかはわかりっこない」
ユーカはそっとバルサの両手を包むと

「私は今、あなたを生かしてくれたジグロを、心から感謝してる。
 それだけが真実よ」
ユーカの言葉にうなづくバルサ

すると、外から馬の鳴き声が聞こえた
すぐに槍を持って、外へ行くバルサ
そこにいたのは一人の老人。バルサの姿にその武人も武器を取り出し、構える

バルサ、この人は大丈夫よ! 
 ヨンサ氏族の長老・ラルーグさん」
慌てて、バルサを止めにかかるユーカ

バルサが短槍を下すと、ラルーグも武器を仕舞った
「ラルーグさんはヨンサ氏族から選ばれた王の槍だった」
ユーカは説明する
「息子さんが引き継いで」

その言葉にある名前を思い出す
ジグロが殺した王の槍・ヨンサ氏族のナグルのことを
「タグルさんの…」

一方、カグロとカームはユーカの診療所が見える山の上まで来ていた。

場面が戻る
「ジグロにとって、王の槍と戦うことは何より苦しい事でした」
バルサの口から息子の死の真相を聞くラルーグ
「…ジグロのことはよくわかった。何かあるとは思っていたが……
 恨んどりゃせん」

「息子のタグルがかなう相手ではない事は分かっていた。
 王に仕える者たちの運命だろう」

「あの……槍舞というのはなんですか?」
バルサは言う
「ん?」
「ジグロからこの国には不思議な儀式があると聞きました」

回想ー
バルサ、カンバルには古来より不思議な儀式がある。兄はその儀式に欠かせない武人となった。
 バルサが森で見たものは……槍舞いだ」
ジグロはいう
「槍舞い?」

「儀式では誰よりも強い武人がその槍舞いを務める舞い手となる。
 その力を兄に授けたのだ」
回想終了ー

「それはルイシャ贈りの儀式の事だ」
ラルーグはいう
「それはどういう儀式なんですか?」

「このカンバル王国では数十年に一度、ルイシャという宝石を山の王から贈られる。
 そのルイシャを他国に売ることによって、豊かな土地に恵まれぬこの国は多くの穀物を得て」
ラルーグは穀物で作ったパンのようなものを持って
「生き長らえきたのだ」

「その山の王とは何者ですか?」
チャグムは言う
「それは…カンバルのあの山の底に住む」
ラルーグはその山を指さして言う

「いやいや……何といっても
 その儀式に立ち会ったものではなくてはそれを感じることはできない」
ラルーグは言った
「儀式は、この国にとって生きる糧なのだ」

「それはどうやって行われるんですか?」
チャグムは言う
「まずは、山の王から合図がある。王城の裏の、洞窟の岩の扉が開き」

”「山の王の扉が開いた!」”
ログサムの描写
「中から笛のような風が吹く」

「その知らせを聞いたら、次の新月までにたくさんの贈り物を用意して、洞窟へと向かう。
 カンバル王は9人の王の槍たちを引き連れて、山の底へと向かうのだ」
ラルーグはいう

「まるで……戦いに行くみたいに」
チャグムのつぶやきに
「あぁ、戦ではないが、戦いに違いない」

「そこでは我々は、
 そこで我々は山の王の守り人と戦わねばならない」
「山の王の守り人…?」

「ヒョウル、闇の守り人と呼ばれておる。そのヒョウルと戦い、最後まで戦い抜いた
 最強の武人に山の王はルイシャを贈ってくださる」
ラルーグは語った

「ただしだ、ヒョウルとは互角の力で息を合わせ、そう舞を舞うがごとく、美しく戦う力がなくてはならない。
 その儀式の事を我々は”槍舞い”と呼ぶ」

その言葉にバルサはカグロとジグロの槍舞いを思い出す
「なんとジグロは16の身でありながら、槍舞いをして、ヒョウルに勝った。
 だが、それ以来、その儀式は行われてはいない。ジグロが死んでしまった今、その儀式を見たものはこの世でもう、私一人しか残っておらん」
残っていた者はすべて、ジグロに殺されてしまったからね…

再び、馬の鳴き声がする
バルサ、追手か」
チャグムの言葉にラルーグが反応する
「追手?」

「王宮が、この方と私を捕まえに来たのです」
バルサは言う
「この方?」

「この方は新ヨゴ国の皇太子です」
バルサが説明する
「なんと…」

「長老にお願いがあります。
 どうかこの方を連れて、裏から逃げてください」
バルサはお願いする
それを了承するラルーグ

バルサ
「私は叔母さんを守る」
「追手を殺すのか?」

「殺しはしない。捕まるんだ。
 捕まれば、ログサムに会える。その間にタルシュのことを話せるかもしれない」
バルサは言う

「私の為にそんなことしなくていいんだ!」
チャグムはそういうが
「あんたの為だけじゃない。ジグロの為にそうしたいんだよ。チャグムの願いがこのカンバルをタルシュから救うことになるなら、ジグロもきっとそれを望むはずだ」

「ジグロに代わって、私もその道を探りたい」
バルサは言う

「さぁ、早く裏へ」
言われるがまま、チャグムはラルーグと共に家の外へ

「これはこれは……。どちらが悪いのかな?」
カグロたちを出迎えるノッサはいう
だが、カームに突き飛ばされてしまう

「おや、カグロ様ではございませんか。
 この国の英雄がこんな所に何か御用ですか?」
そう、いって出迎えるユーカ

「姪は、どこにおる?」
カグロの問い
「隠しても無駄だ」
カームは言う

「ここにいるよ」
バルサが現れる
「こんなところで、そんな物騒なもんを振り回すんじゃないよ」

「皇太子はどこにいる?」
カグロはいう
「皇太子? 皇太子はここに連れてきてないよ」

「探せ!」
カグロが指示をする
「また痛い目に遭いたいのか」

再び、カーム&部下たちとバルサの戦いが始まる
やはり、バルサの方が強い。

ラルーグとチャグムはユーカの診療所が見える山の上にいた
「さぁ、行こう」
ラルーグはいう

一方、バルサはユーカを人質に取られてしまう
「そこまでだ! 皇太子をここに連れてこい」
カグロはいう
「大丈夫、バルサ。私は医術師だ、こんな偽物の槍で首を斬られたって、繋いでみせる!」

そんなユーカの姿に槍を下した
バルサ!」
「チャグムを連れて行くなら、カンバル王の所だろう。
 その前に私がカンバル王と話す」
そう、バルサが言ったのだ

場面が変わり、タラノ平野ー新ヨゴ国軍 最前線ー
タンダは堀を泥まみれになりながら、掘っていた。
一人の男の子が杭を持ち切れず、倒れる
「その杭は誰の者か!? 帝のものであるぞ!崩すな!」
そう怒鳴りつける
「慎重に運べ! 怠けるな!」

その日の夜ー
無言で配給の食べ物を食べるタンダ

就寝の時刻、誰かの声がし、タンダは起き上がる
「やめとけ、面倒にかかわるな」
隣に寝ていた村人が言うが、タンダはその中に向かっていく
「……ったく、バカな男だ」

そこには一人の男の子をいじめる村人たちの姿があった
「おいおいっ、何やってるんだ」
それを止めに入るタンダ
「こいつは俺たちの村のもんだ。おめぇには関係ねぇ」

「ここにいるのは帝のために働く者達だろう?
 粗末にしていいのか」
タンダは言う

「こいつが逃げようとしたからだ」
村人はいう
「こいつが逃げれば、俺たちがひどい目にあうんだ」

「逃げようとしたんじゃない…」
その男の子は言う

「はぁ!? 逃げろ逃げろって言ったのはお前だろ!」
男の子につかみかかる村人
だが、タンダが守って、掴みかかったのは引きはがす
「逃げろ?」

「俺たちにけしかけたんだ。寝言みたいに!」
「逃げろ、逃げろって」

「ここにいたら、みんな死ぬよ」
雰囲気が違う男の子の口調
「お前、帝の軍が負けるっていうのか!」

再びつかみかかろうとする村人をタンダが
「もうよせ!」
突き飛ばす

そっとその男の子を包むと、その雰囲気が元に戻る
「おいで」

「痛そうだな…」
タンダは男の子の手当てをする
「なんであんなこと言ったの?」

「ここがなくなるから」
コチャという民兵は言った
「ここがなくなる?」

タンダの言葉にコクリとうなづくコチャ
「よくわからねぇけど、ときどき何もなくなって見えるんだ。
 深い闇の中に落ちていくみたいに」
「ここが、この場所が?」

「それが夢なのか、
 なんなのか分からなくなって、怖くなるんだ」
コチャの言葉にタンダは以前、アスラが伝えた事を思い出す

”「わからないけど、
 アスラは新ヨゴ国の都に行くと聞いた時にとても怖がったんです」”

「君にもナユグが見えるのか?」
タンダの言葉に不思議そうな顔をするコチャ
「ナユグ?」

「この世と重なり合った、目には見えない精霊の世だ。
 もしかすると、そっちの景色が見えているだけかもしれない」

「それとも何か、予言してるのか……」
タンダはつぶやく
そう言うと、コチャは笑う
「そんなに気にしなくていいよ。どうせ、おらは変なガキだから」

そんなコチャの言葉に笑うタンダ
「変なガキかぁ…。俺もよく言われたなぁ…」
「あんたも?」

「うん、死者の魂が見えたり、もうじき病で死ぬ人がなんとなくわかったり、他の誰にも見えない鳥が見えたり、空を舞うのをぼんやり眺めてたりするような子供だったから」

「だから、周りから気味悪がられたなぁ…。
 けど、思ったことを口にしないとどんどん自分が怖くなる」
タンダの言葉にうなづくコチャ
「うん、そうなんだ」

「トロガイという呪術師と出会って、俺は救われたんだ」
タンダは言う
「呪術師? ヤクーの?」

「うん」
「あんたも呪術師なのか?」
こちゃは聞く

「そうだよ、タンダだ。
 俺の名前」

「タンダ、おらはコチャだ」
タンダとあいさつをするコチャ

「コチャ、これから怖くなった時は俺に言いな」
「うん」
二人で笑いあう

場面が変わり、チャグムとラルーグ
ラルーグはトトという牧童の元へと来ていた
「ヤギが欲しくて、来たわけじゃなさそうだな」
トトはいう

「トト、頼みがあってやってきた。しばらくこの方を預かってくれ」
ラルーグはいう
「牧童のトトだ。ここにいれば安心だ。
 ……彼らは山の王の一番近くにいる者達だ」

トトは誰かに向かって、声を発する。すると、山の向こうから声がした
「彼らは、こんな風にして、遠い仲間と話をする」
「みんな、構わん、と言っている」
トトはいった

「お前はなんて呼べばいい?」
トトはそう言う
「チャグムと呼んでください」

「チャグム……」
「精霊の匂いがする。水の精霊だ。
 卵を抱いたことがあるな?」
トトは言う
「はい、子供の頃に」

「なら、あれが見えるか?」
トトは上を指さす
「あれは……水だ。ナユグの水だ」
ナユグの春の訪れ…北の大陸の

「ここあたりはどんどん水につかっている。南の大陸から流れてくるんだ。
 我々もそののちに山で暮らせんようになるかもしれぬ」
トトはいう

「あの水は日なたの水のように、暖かい。
 雪が解ければ、雪崩が起きる」
そのトトの言葉にラルーグが反応する

「トト、我々もここが危ないのか? 」
ラルーグはいう
「あちらが変われが、こちらも変わる。それが恵みであっても、災いであってもな」

「そういえば、久々に山の王の扉が開いたようだ」
トトは言う
「儀式が、行われるんですか?」

「果たして今のカンバル王は、山の王に認められるかな?」
トトはそういうのだった

場所を変え、カンバル王城ー
バルサはそこへやってきていた。
バルサ、でございます」

「よく来た、バルサ
「お目通り願い、光栄でございます、陛下」
バルサは言う

「まるでそなたからきた、という口ぶりだな。
 カグロの元から逃げた、と聞いておるが」
ログサムはいう

「はい。
 けれど、どうしても陛下にお目にかかりたく」
バルサは言う

「私に会いたいと?」
「はい」

「もっとよく顔を見せよ」
ログサムが言うと、ゆっくりとログサムの前に歩みを進めるバルサ

「面影がある。
 で、私に会いたいのはそなた一人か?」
ログサムは問いかける
「もう一人、若い者がいたときいたが、その者はどうした?」

「陛下に強くお会いしたいのは、その者です。その者は新ヨゴ国のチャグム皇太子です。
 既にご存知の事と存じますが、チャグム皇太子はタルシュ帝国より追われている身です」

「タルシュ帝国と陛下が入魂の間柄だと聞き及び、念のため一時、入閣しました。
 その皇太子の身をタルシュの意向とは切り離されてお考えいただけると確信できれば、すぐにここにお連れしま……」
バルサがそう言いかけると、ログサムは笑う

「……まるで決めるのはそなたであるかのようだな。
 私はそなたの意向に従うだけか」
ログサムは言う
「いえ」

「私は沿う気はない。カグロの息子がチャグム皇太子を見つけ次第、首をはね、
 タルシュに差し出す」
バルサの顔は動かない

「そう申したら、何といたす?
 私に刃向かうか?」

ログサムは問いかける

バルサ、チャグム皇太子の事を切り出して、
 私の顔を見よ」
ログサムは言った

そう言われ、バルサはゆっくりとログサムを見る
その顔はゆっくりとゆがむ
「そう、その恨みのこもった目……」
そう言いながら、バルサが放った為に出来た傷を触るログサム
「そのお前と話がしたい」

「カルナの娘か、ジグロの娘かは知らんが、
 私が憎かろう?」

「いいえ」
バルサは言う
「正直に申せ!」

「お前を育てたジグロは8人の王の槍を殺した。
 8人の金の輪を盗み出して、逃げて、逃げて」

「とうとう最後は同族の兄に討たれて死んだ。哀れなもんよのぅ。
 その兄は盗まれたすべての金の輪を取り返し、この国の英雄となった」

「そこでそなたに訪ねたい。それは事実か? 兄のカグロは弟のジグロを討った、それは事実か?
 どうなのだ?」
ログサムは問いかける

ここでそれを問うか…ログサム
真実を言えば、大変なことになる。バルサはどうするのだろう?

次回予告、気になるなぁ…
あれはログサムが落ちたのか、何なのか

ここまで読んでくれてありがとうございました!
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